裁判員裁判の裁判員をやった話

雑記

裁判が終わり

予定通り公判も終わり、裁判官と裁判員で刑を決めることになりました。どうやって決めたかは言えないのです。報道とかで容疑者や被告と聞くと、イコール犯人だ!有罪だ!となるわけなのだが、実際に裁判はそういう決めつけはもちろんできない。疑わしい、で終わった場合は無罪なわけです。量刑も軽すぎると検察から文句が出るし、キツすぎると高裁から文句言われる。何かと難しいのだそうな。

だから、ゼロベースで考えないといけない。現行犯とか、明らかな証拠がある場合はそうでもないんだろうけど、証拠がないと、限りなくそうであると考えられるけど決めつけるわけにもいかない。今回は被告が99.999%クロってはじめから思ってたし、疑わしい証言や証拠もたくさんあるのに、だからといって100%被告が犯人とは言えないのね。

そのことをちゃんを考えて、どのような流れで検事が立証するのかなんて、この場で裁判をに携わっていなかったら考えることなんてなかったと思う。「はーん、裁判なんかええから有罪にしとけや」なんて思うことはなくなりました。被告=クロだと思うのは簡単だけど、実証するのはとんでもなく大変。 先入観を捨てゼロベースで考えること、どうやって話を組み立てるか、対立する二者の意見をさばくこと、やっぱり裁判を傍聴するだけでなく、裁判員の立場だから考えさせられることもすごく多かった。 この考えかたは今も生きています。

幸運なことに殺人未遂の事件ではあるのだが血は一滴も流れていない事件であった。そのため証拠資料等にも血もついておらずグロい絵は一切出てこない、ある意味幸運な裁判員だった。そうだから言えることなのかもしれないけど、本当に裁判員に選ばれて良かったなと感じた。価値観が一変した、なんてことはないけど、今後の人生にすごくいい影響を与えた出来事だった。

正直、法曹関係者なんてあんまりいいイメージなかったけど、今回の裁判官は3人ともすんげーいい人だった。裁判員なんてメンドクセー制度だと思うんですよね裁判官からしたら。つまんねー素人の質問にも嫌な顔せず答えてくれるし、多少込み入ったことも噛み砕いて説明してくれる。 ランチにいろいろ連れてってくれるし休憩時間のお菓子の差し入れもいっぱいもらって。最終日に法廷で記念撮影とかもしました。法廷ってカメラ禁止だから貴重です。

判決のあと、裁判官の皆様と裁判員達で飲みに行きました。この人ら何年のおつきあいなんっていうくらい、アホほど笑って飲みましたわみんな。こんだけ長い間の裁判員裁判なのに、最終日まで一人も欠けることなく終えるなんて奇跡だよね。その後も年に1回集まっている。一昨年は診断士の試験直前だったので行かなかったが、去年は東京まで行きました。移住後はじめての東京訪問がこれ。それくらいいいお付き合いをしている。

ほんと、やりたかったから、ではなくやってみてよかったですよ。皆様も1/10000に選ばれた時は楽しんで、真剣にいろいろ考えてみるといろんなものが見えると思いますよ。はじめはやりたくなさそうだった人たちも、本当に真剣に意見を交わすようになってましたから。

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