二次試験組の実務補習と養成課程の実習の違い。

※今回の内容は中小企業大学校等の他の機関の養成課程の話は別かもしれません。あくまで福岡県中小企業診断士協会の実施する養成課程の話をします。

補助員を務めることになった養成課程の実習が始まりました。まだまだ始まったばかりなので内容的にはちょっとアレですが、実務補習と養成課程の実習の違いを紹介したいと思います。二次試験を受けるべきか、養成課程に行くのか、迷っている人もいると思いますので参考になれば。講義や演習については残念ながら携わっていないので今回は触れません。

実習が全部終わったあとに書いた記事もあります。だいたいこの記事と同じようなこと書いてますが。

実習内容の違い

実務補習は5日間コースを合計3回行うことになりますが、養成課程の実習は合計5回あります。大きな違いが2点あり、1つは期間、もう1つはテーマが決まっているか否かです。

実習ごとのテーマ

実務補習には特にテーマはなく、結局は指導員の先生がもってきた企業によりテーマや問題、課題等が決まる形です。養成課程は5回の実習にそれぞれタイトルがついており

  • 流通業経営診断実習
  • 製造業経営診断実習
  • 経営戦略・経営計画策定実習Ⅰ
  • 経営戦略・経営計画策定実習Ⅱ
  • 経営総合ソリューション実習

と分かれています。今回は最後の実習、経営総合ソリューション実習をやっています。

このうち流通業経営診断実習と製造業経営診断実習では

  • 部門別診断
  • 経営課題の抽出
  • 経営改善策の策定

といった内容を行います。ここでは現状分析力、問題形成力、経営戦略策定力を身に着けます。

経営戦略・経営計画策定実習Ⅰ、Ⅱではさらに

  • 総合診断
  • 経営戦略策定のための経営環境調査、分析
  • 経営戦略策定(ビジネスモデルの再構築)
  • 経営戦略実行計画策定(実行計画の策定)

を行います。ここではさらに実行計画策定力を身に着けます。

最後の経営総合ソリューション実習では

  • 総合診断
  • 企業の重点経営課題に応じた実行支援策の策定

を学び、実行支援力を身に着けます。このように徐々にステップアップいくのが養成課程の実習の特徴でもあります。様々なフェーズでの対応を徐々に学んで行ける体系となっています。また、流通業と製造業に確実に携わることができるというのも大きなメリットだと思います。

一方、実務補習では特にテーマが決まっているわけではなく、業種もフェーズも指導員の先生がもってきた企業次第になってしまうところがあります。5日間コース×3回であってもそれぞれの実習が連動しているわけでもないので、運が悪い人は3回とも同じ業種だったり、3回とも業績好調で何も困っていない企業だったりすることもあるかもしれません。

自分自身の印象ではありますが、実務補習の15日はとりあえずのノルマをクリアするために設定されているものであり、診断士登録前に一通りのスキルを学ぶためにあるものではない、のかなと思いました。あくまで企業診断の「形式」を一通り学ぶだけの場であるのかなと。

当然ですが、携われる業種業界は養成課程のほうが幅広く、実務補習のように単発の補習で終わってしまうよりは身になることも多いでしょう。

実習期間の違い

実務補習は、一回の補習期間はたった5日しかありません。とはいえ集まるのが5日間だけということで、実習前に資料を集めたり、実習と実習の間で個人ワークがあったりするので実際には5日間というわけではなく、集合するのが5日間ということですが、大まか次のような流れかと思います。

実習1週間前~2,3日前
指導員から実習先企業の概要や決算書が届く。
気合満点の人は図書館に行って業種別審査事典をコピーする等、業界や市場を調べる。決算書を各々分析して当日のヒアリング項目をいくつか検討する。

実習1日目
午前中にはじめましてを行い、チームの役割分担を決定(先生次第では集合前に分担は決まっている場合もあり)。早速ヒアリング項目を話し合う。午後から実習先企業に移動して限られた時間の中でヒアリングを実施。

実習2日目
前日のヒアリングを元にSWOT分析、あとは先生の指導方針次第で各種分析・検討を実施。成果物のおおまかな流れをきめる。

2日目と3日目の間(平日)
各自それぞれの分担するパートの報告書を作成する。wordの操作に慣れていない人はwordの操作にも苦労しつつ作成を行う。

3日目
集合。各自作成した報告書を発表し、整合性や内容についてチェック、仕上げに向かう。

4日目
仕上げ。各班に1人いるword係が泣きながらマージをする。報告書が完成次第Kinko’sに向かって印刷、製本。

5日目
午前中に読み合わせや発表会の流れを確認し、午後から実習先企業で発表会。

だいたいこんな感じかと。実習先企業に訪問できるのが1日目と5日目。ヒアリングを実施できるのは1日目のみです。2~4日目は成果物の方針決定と実際の成果物の作成のみで5日目は報告会です。場合によっては中間にアンケートを取ったりしたり市場調査をしたりすることもあるようですが、実習先企業と関わるのは1日目午後と5日目午後のみです。

一方、養成課程の場合1回の実習が14日。とはいっても半日だけの場合もあるので全日換算すると11日です。そのうち企業に訪問するのが報告会を含め7日あります。誰がどう見ても密度が違いますね。報告会を除くと6日も企業に訪問できるとなると、ヒアリングの漏れもなくなりますし、アンケートも取り放題ですし(企業の協力があればですが)、作業分析も細かいデータ取り放題です。

実際、自分自身が実務補習5日間コースに参加した際は、ヒアリングの物足りなさを感じました。養成課程であればヒアリングのおかわりもできますし、ほしいデータもいくらでもとれます。今回も濃密なデータを取る方向で話が進んでいます。

そもそもですが、養成課程は実習だけがすべてではありません。通常の講義もあるわけで、参加者も実習が始まる時点でわかっているわけです。今回は最後の実習ですし、それまでの講義や実習で参加者同士の仲は深まり、個人同士の得意分野や性格なんかは把握しているわけです。実務補習のようにヨーイドンがはじめましてなわけでもありません。15日コースであれば2回め3回めははじめましてではないわけですが、やはりスタートからして違います。

スタートダッシュも決まるし、報告書のネタ集めの時間もじっくりあるという面ではやはり養成課程のほうが充実していると言えます。

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