働き方改革実践

中小企業診断士生活

昨日は県の事業の働き方改革に関するセミナーにアドバイザーとして参加してきました。

中小企業にとっては働き方改革=休みを増やす、残業を減らす、給料増やす、人を雇う、といった人事領域の中でもかなり表面的な部分が中心になるようです。このセミナーの講師、アドバイザーもほとんどが社労士です。中小企業診断士は私一人です。

ですが働き方改革を始めとした施策は生産性向上を伴うものです。例え休みが増えたとしても生み出す付加価値が下がっていては生産性向上とは言えません。単純に生産性を付加価値生産性とすると

$$生産性=\frac{付加価値額}{人件費} $$

と定義できます。いくら休みを増やしたり残業を減らしたとしても生産性を下げてしまうと働き方改革とは言えません。生産性は必ず最低でも維持、可能な限り向上させる必要があります。生産性を式の上で向上させるためには下記の4パターンがあります。

  1. 付加価値額を増やして人件費はそのまま、もしくは減らす
  2. 付加価値額はそのままで人件費を減らす
  3. 付加価値額を減らして人件費をそれ以上に減らす
  4. 人件費を増やすがそれ以上に付加価値額を増やす

しかし、このうち3番のパターンはナシです。生産性向上を図るために付加価値も下げてしまってはいけません。

付加価値は最低でも維持、可能な限り伸ばしつつ人件費を下げる必要があります。単純に労働時間を短くするだけでは付加価値額を維持することができません。そのためにではどうしようか、というのが働き方改革です。

働き方改革の進め方

働き方改革に限った話ではありませんが、組織改革にあたってはトップが目標を明確化し共有する必要があります。とはいえ従業員の一人一人が個別に課題を明確にしてそれを解決するように進まなければ問題は解決しません。トップダウンでは決してうまくいきませんが、トップが目標を明確にしないことには個々の目標や課題もバラバラになってしまいます。今回のセミナーでもかなりやる気のあるトップの方もいらっしゃったため、そういう企業であれば働き方改革も問題なく進むのだろうなという印象がありました。

トップが目標を明確にしたら、次は従業員各自が現状を認識し、何が問題なのか、どうなりたいのか、を順に明確にしていきます。現状と目標を各自が明確にしたところで個別の具体的な問題の解決に入っていきます。ここで従業員各自が抱えている問題はトップの認識とは異なる部分も多いでしょうが、従業員の考えを否定すると先には進みません。

そうなると人事の表面的な課題解決ばかりではなくなってきます。休暇制度の充実や採用の強化をいくらがんばったところで日常業務の抱える問題を解決しない限りは付加価値を維持・向上させることは不可能なため生産性の向上にはつながりません。業務プロセスの改善や情報共有の仕組みづくり、場合によってはITツールの導入といったことも必要となるでしょう。

そうなってくると社労士だけでなく中小企業診断士が必要となる場面も増えてくるはずです。今後はそんなところもサポートしていければなと思います。

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