勉強のモチベーションとマズローの5段階欲求

私は、大人は資格試験や勉強は自分の意思で自分の責任でやるものだと思っています。他人がやるかやらないか決めることではないと思います。

勉強のやり方や勉強する時間の作り方について聞かれたら説明しますが、それをもってこちらから「ではそのとおりやりましょう」と言うことはありません。「こういうふうなやり方があるよ」くらいの伝え方しかしません。いくらこちらが説明し、勉強はいいぞ、と伝えたところで、本人がそれを納得しない限りは動きすらしないことは嫌というほど経験しています。

子供だとそれでもやらせるという選択肢があってもいいと思うのですが、大人は勉強するもしないも自己責任ですしね。どうしても必要な資格でない限りは周りの人ががんばってやってもらうものでもないと思っています。

「少しでも続ければ習慣になる」というのもそれができる側からの意見であって、勉強に興味がない人間が勉強を少しでも続けることと言うのは、資格試験の勉強を続けている人間からすると考えられないほど高いハードルなのです。努力をすることができる、継続することができるというのも一種の才能です。

資格のこと、勉強のやり方、時間の作り方、いくら説明してもピンとこない人には「その資格を取る目的や必要性を考えたら?取らなくていいなら勉強なんかしなくても好きなことやってればいいじゃん」と伝えることにしています。資格をどうしても取りたい、必要性を感じているのであればアドバイスで何か感じるものがあって動き出すでしょうし、何も感じないのであれば勉強なんてやるだけ時間の無駄です。勉強したり資格を取るだけが人生じゃないですし、そこで少しでも勉強を続けるようなというアドバイスは私は相手のためにもならないと思うのでしません。

これはあくまでまだ学習が進んでいない段階でのことです。学習を重ね試験まであと1か月という段階で「やる気が出ない」と言われたら「死んでもやれ」というかもしれませんが。個人的にはやる気がない状況でイヤイヤやるよりも、やる気がないならやめてみてやる気が出るのを待ってもいいんじゃない、と思っています。それでやる気が復活しなければ、資格を取得する目的、必要性もそんなもんだったというだけの話です。

その理由を少し考えてみました。

マズローの欲求5段階説

人間の欲求には低次から生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現の欲求、の5段階あり、それぞれ低次の欲求を満たさなければ上位の欲求へ進まない、というものです。

資格試験はレベルによりけりですが社会的欲求、承認欲求、自己実現の欲求にあたるでしょう。このうち士業等は自己実現の欲求という一番上の欲求になる。ということはそれより下位の欲求が満たされていないのであれば資格試験の勉強に欲求なんて湧いてこないということである。

というのがマズローの欲求5段階説です。このうち生理的欲求~社会的欲求は外発的モチベーション、承認欲求と自己実現の欲求が内発的モチベーションです。動機づけにも内発的動機づけと外発的動機づけがあり、このうち外発的動機づけの効果は一時的だそうです。外発的動機づけによって行動をしているうちに次第に内発的動機づけに変化していくこともあるそうです。

やりたいからやっているのが内発的動機づけで、行動することで自らの幸福ややりがいになることから持続力があります。外発的動機づけはお金や称賛といった他人からもうらう報酬によって動機づけられるもので効果は一時的です。

外発的動機づけを内発的動機づけにつなげていくには、外発的動機づけによって得られる成果を内発的動機づけに結びつける必要があります。つまりマズローの5段階欲求でいうところの社会的欲求、承認欲求を満たし、報酬や褒められたいという出来事を自分の中で内発的な動機に紐付けることで、初めて自己実現に向けての動機づけがなされるということになります。

このことから、あまり勉強をする気もない人に「勉強を続けると習慣になる」とアドバイスするのは、前段階のすべての欲求をすっとばして自己実現の欲求を満たそうとしていることから、内発的モチベーションのない人には響かないことになります。ただ勉強するだけではなく、勉強したことによって報酬が上がる、勉強したことで他人に認められる、という成功体験がなければ勉強を習慣づけることはできない、ということになります。

ただし、これはあくまでマズローの5段階欲求に基づく解釈であり、すべての人に当てまはまるわけでもないので、5段階を順序よく踏まないと欲求の段階があがらないということではありません。

まとめ

「勉強をとにかくやれ」「続けると習慣になる」というアドバイスがちょっと苦手でした。これは「続けること」ができる側からの上から目線の意見であり、勉強をする気のない人にいくら言っても無駄だからです。また勉強だけが人生ではないので、好きなことだけ過ごしているのもそれは自分が選んだ人生なので、間違ったことではありません。

資格取得者やSNSの勉強アカ界隈では、勉強すること、努力することが普通のことなので感覚が麻痺しているところはありますが、一般の人ってそんなに勉強を続けられる人なんてそう多くはないです。

とはいえ、「勉強をとにかくやれ」「続けると習慣になる」というアドバイスだって別に間違った考えだとは思っていません。資格合格した人は勉強を続けたからこそ自身の成功体験があるわけで、勉強を続けたらいいことがある、続ければ習慣になるというのもまた事実です。

ただ自分はこういうアドバイスはしません。それがなぜかと、今回の記事を書きながら自分なりに納得できました。習慣づけるアドバイスをするのなら、もう少し低次の欲求を満たすような形で徐々に上げていくほうが良さそうで、習慣づけるためには少しずつゴールを設定していく形にしよう、と思いました。

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