中小企業診断士の能力開発

私は常々、診断士は「パッシブスキルを磨くべきだ」と主張してきたパッシブスキルというとゲーム用語のようなのだが、他に思い当たるものがなかった。

パッシブスキルとは、読み書き算盤、外国語、車の運転、コミュニケーションやコーチング、傾聴、MOS、タイピング、営業などなど、いつどんな場面でも使える能力です。要は、ベースとなるもの・常に発揮できるものを学んだほうがいいんじゃないかということです。

対極にあたるのはアクティブスキル。つまり専門性を高め、特定のシーンではとても効果的な威力を発揮するというものです。

アクティブスキルはシステム開発、商品開発、税務等、特定の場面では一定以上の能力が必要だが、それ以外の場面では必要ないものである。これらの基礎的な部分においてはパッシブスキルでもあると言えるだろう。簿記なんかそうでね。3級ならパッシブですが1級はアクティブです。

なぜパッシブスキルなのか

中小企業診断士はよく「独占業務がないから専門性がないと云々」とはよく言われます。確かにそのとおりです。ITや営業やマーケティング等の個人のスキルもそうですし、飲食業や製造業、サービス業といった顧客の業界もそうでしょう。

ただ、一生そのスキルや業界に身を捧げるという覚悟があるか、興味があるとか好きとかならともかく、専門的なアクティブスキルを学ぶのは必要に応じてでよくない?と思っています。

なんでもない時に勉強するのはもちろんいいことですが、特に専門性を必要な業務がさしあたってない場合、パッシブスキルを磨いたほうがよくない?と思います。

なぜなら診断士はゼネラリストであるし、人の能力ってパッシブスキル+アクティブスキル成り立っているから。

アクティブスキルも好きとか興味で学ぶのもいいと思いますけどね、やはりそこにも程度ってもんはあるわけで。

パッシブスキルを学ぶべき

自分の意図するパッシブスキルとアクティブスキルの関係を図にするとこんな感じです。絵心ないしかなり簡略化して描くけど。

アクティブスキルはどれだけ磨こうがその分野でしか使えません。つまりとんがっていても他の分野にいくと特に能力があるわけではなくなります。上図の例の人だと、ITの仕事だと高い専門性は発揮できるけど、人事労務分野ではそんなに活躍できないという感じです。

まあ、その得意分野しかやらねえこれ一本で勝負するんだって人もいるでしょうし、それはリソースの選択と集中の結果の話でいいことだと思いますが、今回はおいておきます。そもそも、診断士はSWOTやらなんやら学んできているはずですし、リソースに限りはあるし強みを機会にぶつけて選択と集中云々は学んできているはずですからね。貴重なリソースで必要以上の知識を習得し、弱みを克服し機会のないレッドオーシャンに参入するという方法は学んでいないはずです。

で、パッシブスキルを伸ばすというのはこういうイメージです。

実際にはパッシブスキルを磨いたからってこの図のように全部がパワーアップするわけでもないけどな。けど、特定のアクティブスキルを向上するよりも、中小企業診断士としても、コンサルタントとしても、ビジネスマンとしても、人間としても、質が向上というか、活躍する幅が広がるのは間違いないと思っています。

さて、ワイは以前からITストラテジストを受けようとしている人がどうのこうの言っていますけど、これ私がIT業界出身だから言ってます。他にも取得まですげー時間かかるしオーバースペックだけど実務につながらない資格はあると思うけど、私その業界のこと知らないですし。IT業界のことなら未経験の人よりは知ってます。なので、例にしやすいIT業界とITストラテジストで話をします。似たようなことはどの業界どの資格でもあり得る話だと思います。

ITストラテジストと、実際に中小企業支援で求められる知識ってこんな感じです。

応用情報ですらオーバースペックだと思う。基本情報すらも。。なので、ITストラテジスト目指すのは時間の無駄でもっとパッシブスキルを磨いたほうがいい、と主張しています。IT関連を勉強したいとしても裾野はもっと広いわけで、、、

稀にITストラテジスト級の能力が必要な仕事もないことはないです。ただし、資格だけあっても未経験では無理と言ってもいいレベルです。未経験がいきなり高度な業務にあたるってかなり難しいと普通は理解されていると思うんですが。

さらに以前にも書いたのですが「何でシステム入れるんですか」「やり方変わるのが嫌です」「それ入れたら私の仕事なくなりますよね」という人が、古い会社には多数存在します。常識だけではかれないのよ。そのような人に、いくら素晴らしいIT導入計画を策定し、高度な技術で素晴らしいシステムを開発、高収益で高い生産性が云々と話をしても通じる余地なんかありません。

ITストラテジストの知識よりも説得工作を図る対人折衝能力のほうがよっぽど大事です。他にもSNSで販促したいとかツール入れたいとかの話もあるでしょうけど、同じことです。

ということで、ITストラテジストは取得に労力が必要な割に必要な場面も限られ(というかほぼない)、オーバースペックなので時間の無駄だと思います。ま、見ず知らずの人がどれだけ時間を無断にしようと自分には何も関係ないんですが、身近な人がいれば全力で止めますね。IT学びたいにしてももっと難易度低いものでも十分だし、パッシブスキルを磨いたほうがいいんじゃない、というのが私の意見です。

それにみなさんITストラテジストの過去問見たことあります?「あなたが携わった」「あなたがどのような立場・役割で関わったか」って毎回出題されてますよね。未経験の人がどうやって答えるんですか?え?捏造?みんなやってるから?かなりやべーよその認識。決してITストラテジストの資格が嫌いなわけじゃない。無闇矢鱈と何も考えず目指す風情が嫌いなのだ。

パッシブスキルを磨いていこう

冒頭にアクティブスキルでも初級なものはパッシブスキルに入る、というようなことも書きました。IT分野でもITパスポートなんかはパッシブスキルといえるかもしれません。なんかね、まずはこういうのやってみるとかでもいいと思うんですよね。それで極めたくなったら上を目指すでも。「午後2の診断士試験と親和性があるからー」とかいうガチでクソみたいな理由で目指すのではなく、よっぽど好感もてますし、理由としては納得できるものですよね。試験に親和性あっても実務と親和性なかったら何のこのレベルの資格を目指す意味は何もねーわ。

先日、ツイッタで受験生が、中学1年生レベルの方程式の解き方の質問をしているのを見て愕然としました。義務教育って大事だなって。私だって中学校でやったことなんでも知っているわけじゃないです、理科とか社会とか覚えてないこといっぱいあります。でもね、それをふまえてもまじで「そんなこと人に聞く?それわからないの一種のギャグだよね?」のレベルだと感じました。これだってパッシブスキルですよ。数学って暗記じゃなくて理解ですし、あんなもの人に聞いて時間かけてやるんじゃなくて、ぱぱっと暗算しなきゃいけないレベルですし。

そういう意味でも教養や基礎知識すっぽかして応用ばっかり勉強していても、いざ実践では何にも使えないものにしかならないんじゃないかと思います。

パッシブスキルだっていーっぱい種類があって、レベルも様々ですからね。車の運転だって、アクセル踏んでハンドル切ってカーブ曲がってブレーキで止まるなんてことは子供でもできます。でも事故を起こさず交通ルールを守って安全に他車に迷惑かけずとなると、練習して実践重ねていかないといけないわけです。ここまでやってようやく「運転できる」というレベルになるのです。本を読んでテストで点取ったからって「できる」とは言わんのです。

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