2019年の二次試験結果から見えた傾向。

中小企業診断士試験

昨年の中小企業診断士の二次試験の結果を見ていたらなかなかおもしろそうな傾向が出てきました。その理由を考えてみたいと思います。男女別、年齢別、地区別、職種別では筆記試験の受験者は明らかになっておらず、申込者と合格者数しかわからないため、全体の合格率とは少し数字が変わっています。

申込者6161人、合格者が1088人のため、この計算では合格率が17.659%となりますので、発表されている18.3%ではなく17.7%を基準に考えます。

資料はこちらをごらんください。
https://www.j-smeca.jp/attach/test/h31/h31_2ji_toukei.pdf

勤務先区分による違い

 申込者合格者数合格率
経営コンサルタント自営業68710.3%
税理士・公認会計士等自営業2283716.2%
上記以外の自営業1411712.1%
経営コンサルタント事務所等勤務1683319.6%
民間企業勤務389170518.1%
政府系金融機関勤務1172218.8%
政府系以外の金融機関勤務5879516.2%
中小企業支援機関1111513.5%
独立行政法人・公益法人等勤務791721.5%
公務員2145827.1%
研究・教育29724.1%
学生741114.9%
その他(無職を含む)4546414.1%
合計6161108817.7%

どんな組織に属している人の合格率が高いと思いますか?やっぱりコンサルとか金融機関のほうが高そうなイメージがありませんか?実は自営業の経営コンサルタントが、診断士協会が分類する勤務先区分の中では合格率は最低でした。申込者も多くないのでたまたま下振れした可能性もありますが、合格率は10.29%で最も低くなっています。

また自営業全体でも13.95%で学生の合格率14.86%よりも低いです。自営業の中でも税理士・認会計士等の専門職の方が底上げしているとはいえ、税理士・公認会計士等の方も16.22%なので平均より低いです。

コンサルの方でも経営コンサル事務所勤務の方になると19.64%と平均より高い合格率となります(職種がコンサルがどうかはわかりませんが)。民間企業、政府系金融機関等も平均より高い合格率となっています。

最も合格率が高いのは公務員でした。個人的には少し意外な感じがしました。日頃から地元中小企業と関わりのある職種の方が多いのでしょうか。

年齢による違い

 申込者合格者数合格率
20歳未満500%
20~2962913721.8%
30~39187840621.6%
40~49199835417.7%
50~59127716112.6%
60~69351288.0%
70歳以上2328.7%
合計6161108817.7%

申込者が少なく合格者もいなかった10代は除くと、20代の合格率が最も高く、30代、40代、50代となるにつれ合格率は下がり、60代が最も低くなり、70歳以上になると少し上がります(申込者、合格者とも60代よりぐっと少ないのですが)。申込者が最も多いのは40代、合格者が最も高いのは30代です。

イメージ的には経験を重ね試験にも対応しやすいと思われる30代、40代が最も高くなりそうでしたが意外にも20代がトップでした。経験よりも資格を目指す意識の高い方が好結果につながるということでしょうか。

この結果から考えられること

自営業より企業勤務や公務員のほうが合格率が高く、年齢も若いほうが合格率が高いという結果になりました。個人的には次のように考えました。

・官製コンサルとして同じような思考のコンサルを国が求めている

⇒独自に経験を積み重ねる自営業より、組織の中で定型的なスキルを求められる民間企業勤務のほうが合格率が高い。また、経験豊富な高年齢より与件に対しフラットに考え与件を活かすことができる若年層のほうが合格率が高い。

ということなのかと思いました。こうなると二次試験でやるべきことも少しずつ見えてきます。よく工場勤務の人ほど事例3の点数が悪いという話も聞きますが、まさに経験が邪魔をしてしまっているということでしょう。

自分の経験は活かす必要はない、与件に則った回答を行うこと、二次試験では鉄則とよく聞かれることですが、これを守り切ることがやっぱり必要なんですね。

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