資格試験の合格までの勉強時間

初学者、または勉強を始めたばかりの人ほど、「資格取得まで〇時間勉強が必要」という数字を熱心に気にしている感じがする。わからんでもない。時間は難易度にほぼ等しいので、自分がこれから目指したいところ、取れる時間、もろもろ考えて目安にはするだろう。それはわかる。

ただ、それはあくまで目安であり、他人の勉強時間と自分の勉強時間を比較することは何の意味もない。そして誰もが食いつく「短時間合格」の話。これはマユツバで考える話で、参考にすれど自分自身に使えるような話は一切ないと言ってもいいだろう。誰しも通用する話であれば業界でそのノウハウがスタンダードになっている。なっていないということは。。

短時間合格の話がマユツバな理由

相場の資格取得までに必要な時間よりごく短時間で合格できる話、だいたいいくつかのパターンがある。中小企業診断士試験を例にあげてみよう。

もともと試験に必要な知識を持っている場合。

例えば公認会計士や税理士。この人たちは一次試験の財務・会計、二次試験の事例4を勉強する必要はないだろう。ないとはいえ一回くらい過去問を解くことはあるだろう。とはいえほとんどないので、一次試験であれば勉強時間のだいたい1/7、二次試験であればだいたい1/4がカットできる。これだけでも勉強時間は100時間単位で減る。

同じく弁護士や司法書士が経営法務の科目と、IT系の人が情報の科目を、勉強時間使わずにいける。資格や職種が違ってもそれまで大学で学んでいたとか、趣味で勉強していたとか、そういうものがあれば学習時間は減る。

つまり、人によってバックボーンが異なるのだから、もともと必要な勉強時間なんて異なる。

勉強時間のカウント

勉強時間のカウント方法が人によって異なるため基準がありません。例えば、私は受験生時代はスタプラに勉強時間を記録していましたが、自分が勉強時間としていたのは、机で本や参考書を開き、勉強だけに集中していた時間です。通勤中はテキストを読んでいた時間は勉強時間に含めましたが、歩きながら音声を聞いていた時間は含んでいません。ながら聞きは、ないよりマシ程度でしっかり頭に入っているとは思えなかったからです。

人によっては家事等をしながら音声聞いていた時間も勉強時間に含めていると思います。それはそれで間違いではないと思いますが、自分とは考えが違うだけの話であって。そんな基準の違うもの比べても何の意味がないので、他人の学習時間は気にしませんでした。

人によって基準が違うのだから、そんな時間比べるだけ意味がないのです。比べるなら過去の自分と、予定の自分と比べればいいです。先週・先月やったけど今週・今月はこれくらいだったとか、これくらい勉強する予定だったけど実際はこれくらいだったとか、それで反省や計画の修正をしたり、そういうのに使えばいいと思います。あとは「自分はこれだけやったんだ」と自信を持つために。

勉強したのはどこから?

一部ですが、勉強をどこから始めたのか、カウントの怪しい人もいます。診断士でも短時間合格を謡っている人がいますが、何やらカウントを始めたところがかなり怪しい様子です。話の真偽はわかりませんが、一度勉強していたところ断念し、その後再開、再開後の勉強時間からカウントしたとかしていないとか聞きました。本来であれば断念する前の時間も含めるべきでしょう。ま、ほんとに再開後の時間だけなのか、断念前の時間も合わせても本当に短時間だったのかは知らんけど。

再開後の時間だけで計算すれば、2次試験当日「あーやっぱ試験難しいよおお、無理だよおおお、あきらめよおお」→5分後「やっぱ試験行こ」で、勉強時間0時間が爆誕&大量生産されます。これからの診断士界隈は「勉強時間0時間合格」の話が量産されます。未来は明るいです。

冗談はさておき、どこから勉強としたのか人によってはばらつきがあり、また上記のように、勉強が不要なものも人によってそれぞれです。一般的に必要と言われている勉強時間は複数人のサンプルをとった上で算出したものだと思うので、それなりに正しいです。それよりも極めて短い時間で合格したネタは、読み物としてはいいとは思いますが、話自体が虚偽かごまかしている可能性はかなり高いし、事実だとしても決して誰もがマネできるものでもないということは頭の中に入れておいたほうが良いかと思います。話が事実で誰もがマネできるならそれが業界のスタンダードになっています。なっていないのは、そういうことです。

診断士試験に限らず、世の中の試験全般で言える話だと思います。短時間合格ネタに食いつく気持ちもわかるんですがね。一歩引いてみたほうがいいです。

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