中小企業診断士と◯◯ ダブルライセンスを考える

中小企業診断士生活

中小企業診断士はダブルライセンスの人が多いです。中小企業診断士取得後に他の資格を取ったり、他の資格をすでに持っている人が業務の幅を広げるために中小企業診断士を取得したり、ですね。

どの資格とのダブルライセンスが多いのでしょうか?ちょっと気になったので他の士業資格や高難易度検定とのダブルライセンスでは何が人気なのか調べてみました。統計をちゃんととったわけではないので、Googleで「中小企業診断士」と「他の資格名」で検索した結果です。まあ件数が多いからといってダブルライセンスの人が多いというわけではないですが、興味や関心が高いと見てある程度の相関はあると見ています。検索結果に少し考察も加えてみます。

まずは今回調べた結果ベスト12

検索ワード表示件数
1中小企業診断士 社会保険労務士(社労士)約1,940,000(489,000)件
2中小企業診断士 税理士約1,650,000件
3中小企業診断士 弁護士約1,460,000件
4中小企業診断士 ファイナンシャルプランナー(FP)約458,000(603,000)件
5中小企業診断士 行政書士約1,040,000件
6 中小企業診断士 宅建(宅建士) 約773,000件(236,000件
7中小企業診断士 司法書士約968,000件
8中小企業診断士 公認会計士約941,000件
9中小企業診断士 弁理士約495,000件
10中小企業診断士 不動産鑑定士約489,000件
11中小企業診断士 簿記一級約67,800件
12中小企業診断士 ITストラテジスト約63,900件

中小企業診断士✕社労士

中小企業診断士✕社会保険労務士(社労士)の検索件数がダントツの1位でした。難易度的にどちらも同じくらいであることや、企業活動では切っても切れない人事労務の専門性が高まるということで中小企業診断士と社労士は相性がいいのでしょう。

肌感覚としては中小企業診断士試験に合格したらすぐ社労士に向かう人が多い印象です。逆のパターンはあまり聞いたことがありません。社労士は独占業務があるので、あまりすぐには他の資格で手を広げることがないからでしょうか?中小企業診断士試験に合格した後の勉強熱が社労士に向かうのでしょうか。検索件数が多い理由としては「中小企業診断士と社労士、どっちを取ろうかな?」みたいなリサーチも多いのではないかと思います。

中小企業診断士✕税理士

2番めに多かったのは中小企業診断士✕税理士です。これまた企業活動では切っても切れない税務活動の専門家と経営の専門家との相乗効果が高いのでしょう。

今回取り上げた資格(中小企業診断士を含め)、規模問わず最も関係の多い資格が税理士なのではないかと思います。日々の会計や税務の相談から経営相談へつながることが多いのかなという印象です。税理士として付加価値が高まる良い選択肢ではないかと思います。

中小企業診断士→税理士のパターンも、税理士→中小企業診断士のどちらのパターンも半々くらいかなという印象です。個人的にも税理士も取れたらいいなとは思うのですが、中小企業診断士の後に税理士まで受けるモチベーションは全くわかないですが、、ただただ尊敬します。

中小企業診断士✕弁護士

意外なことに中小企業診断士と弁護士のダブルライセンスも多いようです。

中小企業としても、契約書等のリーガルチェックや債権回収等で弁護士との関わり合いも多いでしょう。その中で経営全般の相談を、ということにつながるようです。弁護士の業務も経営的な視点で対応してもらえるととても心強い印象があります。

中小企業診断士✕ファイナンシャルプランナー(FP)

FPは個人向け、中小企業診断士は企業向け、の印象があり相乗効果が?ではあったのですが、中小企業はオーナー社長が多いでしょうし、おさいふが一緒だと考えるとFPと中小企業診断士が一体となってコンサルティングできるメリットがあるのかもしれません。

中小企業診断士✕行政書士

こちらも難易度が近いためにダブルライセンスとして人気なのでしょうか。公的な書類作成や手続きを行う行政書士とのダブルライセンスであれば、中小企業からの経営相談から行政への提出書類がワンストップで行えるため強みを発揮できそうです。これはいいなと思って私も行政書士への挑戦を一時期考えたことがあります。といっても受験生の時代ですが、合格したら行政書士にチャレンジするのもいいなと考えていました。

そう考えると中小企業診断士が対応可能な業務を広げるために行政書士にチャレンジするパターンが多いのかなという印象です。逆のパターンはあまり聞いたことがないです(私の周りにいないだけかもしれませんが)。経営コンサルは資格なくてもできますから、わざわざ独占資格である行政書士が中小企業診断士を取ろうとは思わないのかもしれません。

中小企業診断士✕宅建士

イマイチ、ピンとこないのが宅建士とのダブルライセンス。宅建士には一部独占業務は存在しますが経営に関するものではありません。試験に関するものもごくごく一部しか重複していませんし、相乗効果も発揮できそうになくキャリアアップや力試しくらいにしかならないのかなーとは思います。

にもかかわらずここまで検索件数が多いというのは、、宅建士が次にチャレンジする資格として中小企業診断士に興味がある人が多いということなのでしょうか。

中小企業診断士✕司法書士

こちらも不動産登記や会社設立のため中小企業とも関わりの多い資格であり、登記手続きと経営面が一体となったコンサルティングが可能となります。事業承継やM&A等の際に最も強みを発揮できるのではないでしょうか。

とはいえこのダブルライセンスはあまり聞いたことがありません。なぜでしょうか?中小企業診断士→司法書士のパターンはほとんどいないと思います。独立した司法書士が業務の幅を広げるために中小企業診断士を取得するパターンがたまにあるかなあといった感じのようですね。

中小企業診断士✕公認会計士

公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスですが、中小企業診断士→公認会計士のパターンはほとんどなく、公認会計士→中小企業診断士のパターンがほとんどという印象です。公認会計士の難易度が高すぎるせいか、人生のすべてを注がなければ合格できない資格だからでしょう。公認会計士を目指す人は中小企業診断士に寄り道せず公認会計士へ一直線なのだと思います。

最近は大手会計士事務所でも監査以外の収入源を確保するため中小企業診断士取得を推奨しているところもあるようです。個人的に公認会計士であればわざわざ中小企業診断士なんかとらなくても、、とは思いますが。どの業界も差別化を図らないと生きていけないのでしょうね。監査業務はAIに代替される可能性が高いとも言われていますし。公認会計士とは言っても監査業務だけを行っているわけではないですし、公認会計士でさえ生き残るために中小企業診断士を取るのかと思うと危機感を感じます。

中小企業診断士✕弁理士

ヒット数がぐっと下がります。 単純に弁理士自体の人数が少ないというのもあるかもしれません。

経営法務の科目でも必須の知的財産のプロの弁理士ですが、他の法律系の資格となる弁護士、行政書士、司法書士と比べると経営に活きる分野というのは限られるのかなという印象です。特許事務所と経営コンサルというのもあまりピンとくる相乗効果も考えにくいです。

中小企業診断士✕不動産鑑定士

不動産を取り扱う中小企業にとっては大きい存在ではないかと思います。不動産についての経営面からの所見と、不動産取扱についての専門的知識から不動産についての総合コンサルティングを行うことが可能となります。

しかし、弁護士や公認会計士と比較するとヒット数が大きく下がってしまうということはあまり需要がないのでしょうか?弁護士、公認会計士とのダブルライセンスではどの分野の企業であっても有効であるのに対し不動産鑑定士は不動産業界のみという一点に尽きるのでしょうか。不動産業界で専門性を極めたいということであれば個人的にすごくいいなーとは思ったのですが。不動産鑑定士が中小企業診断士にチャレンジするのはアリだと思います。

中小企業診断士✕簿記一級

ここからヒット数がまた下がります。とはいえここから下は資格ではなく検定ですからね。

簿記一級については、取得して終わりというわけではなく税理士や公認会計士を目指す人が多いでしょうから、簿記一級と中小企業診断士のダブルライセンス?という形はあまり存在しないようです。中小企業診断士試験に合格したいとしても簿記二級のレベルで十分ですからね。

簿記一級に合格しても、中小企業診断士よりはまず税理士、公認会計士と考えるのは自然な流れかと思います。

中小企業診断士✕ITストラテジスト

私も少し勉強しているITストラテジストです。情報処理技術者試験の中では最も中小企業診断士との親和性の高いものと思っていたのですが、思っていたよりヒット数が少なかったです。試験の解き方や考え方に親和性があるだけで業務についてはそこまで親和性がないということでしょうか。

ITに強みがある、とアピールするくらいしか生きない気がしますが、ITで適当な資格が他にあるわけではないので、ITコンサルを目指すのならやはりITストラテジスト取得を目指すのが一番なのかな、という気はします。

さいごに

今回は中小企業診断士と他の資格の関係性について書きました。以前の記事でも書いたのですが

中小企業診断士試験に合格したのであれば、まずそれを活かすことを考えるのが一番だと考えています。その上で必要に迫られた時、専門性を高めたい時、他の資格とのダブルライセンスを考えていけばいいのかなと思います。そうすれば中小企業診断士の中でも差別化を図ることができます。ダブルライセンス自体は否定しませんが、はじめからダブルライセンスありきというのもどうかなあという気はします。

中小企業診断士はこれだけ多くの分野の資格とのダブルライセンスが有効と言われるのはやはりゼネラリストとしての価値の証明ではないでしょうか。

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